未来への取り組み

未来への取り組み

日本臓器製薬が取り組む研究開発テーマは、自社創出の全く新しい作用機序の治療薬・産官学連携による新薬や医療機器・人工知能AIを活用したヘルステックなど、150を超えます。その中で、より世の中から求められ、より実現可能性の高いテーマを的確に判断し、スムーズに開発を行える社内体制を構築しています。
さらに、これまで日本臓器製薬を支えてきた、疼痛治療薬「ノイロトロピン」は、病気に悩む患者様を助けるために、さらなる適応拡大を目指し、世の中に貢献する医薬品であり続けます。これからも、私たち日本臓器製薬は、医療の新しい扉を開くための挑戦を続けていきます。

神経保護・再生シートの共同開発

日本臓器製薬の高度な製品開発力・機能材料技術力と、大阪大学医学部附属病院の治療ノウハウ、NIMS:国立研究開発法人物質・材料研究機構の材料開発力・材料解析技術を生かし、「神経再生シート:HANZシート」の共同開発を行ってきました。
HANZシートは、生分解性のポリカプロラクトンと神経再生作用が知られている医薬品を材料とし、電界紡糸法を用いて髪の毛の1000分の1の細さほどのナノレベルファイバーをメッシュ状のシートに形成したものです。非常に柔軟で生体内で分解されるため、損傷した末梢神経に直接巻くことで、医薬品を局所的かつ持続的に放出し、神経の再生を促進して、機能回復を促します。このシートを、坐骨神経を損傷させたラットに移植したところ、神経の再生が促進され、運動機能・感覚機能が回復しました。
日本臓器製薬では、すでにこのシートを商用規模で生産するための体制を確立しており、臨床での実用化に向けて、探索的治験を開始しています。実用化されると、国内での発症者数が数十万人とされる、手根管症候群の患者に対する手根管開放術をはじめ、「末梢神経の外科的手術が必要な患者」を対象とした、年間約5万件の手術への適用が可能となります。

神経保護・再生シートが毎日新聞に取り上げられました

骨形成タンパク質製剤の開発・販売契約の締結

日本臓器製薬は2019年(令和元年)9月、再生医療を手がける韓国のバイオ企業、CG Bio Co., Ltd(以下 CG Bio 社)と、CG Bio 社が保有する、骨再生を促す骨形成タンパク質 Bone Morphogenetic Protein-2:BMP-2 製剤「NOVOSIS Putty」について、腰椎変性疾患を対象とした日本における独占的な開発・販売契約を締結しました。
腰椎変性疾患では、薬物療法などの保存的治療で症状が改善しない場合、骨盤などから採取した自家骨を移植する脊椎固定術が行われます。しかし、高齢者には骨の癒合力低下などの問題があるため、高齢化が進む我が国では、骨再生医療への機運が高まっています。日本臓器製薬の整形外科領域での強みを生かし、腰椎変性疾患の新たな治療法として、高難度の手術にも対応可能な骨形成タンパク質 BMP-2 製剤を開発することは、腰痛でつらい思いをされている多くの患者様に貢献できると確信し、契約締結に至りました。2020年(令和2年)以降の治験開始を目標とし、日々前進しています。

疼痛診療支援AIシステム

2017年(平成29年)5月より、日本臓器製薬と愛知医科大学、ならびに自然言語解析人工知能 (AI) を活用して医療・介護などの情報解析ソリューションを提供する株式会社FRONTEOヘルスケアは、「疼痛診療支援AIシステム」の開発と事業化に向け共同研究を行っています。愛知医科大学の学際的痛みセンターにおける集学的診療ノウハウをAIに学習させ、心理社会的要因などが複雑に関与する慢性痛の診療を支援する、新事業分野への挑戦です。本研究では、痛みの専門医でも診断が困難な、心理社会的原因の疼痛を識別し、痛みの原因が不明瞭で、慢性化したあるいは慢性化するおそれのある患者様に的確な診断を行い、いち早く痛みの改善に向けた適切な治療に移行するための、診断支援システムの構築を目指しています。このシステムは、プログラム医療機器としての製品開発を予定しており、製品化後は国内の診療所や病院などへの普及を推進します。また、痛みに悩む多くの患者様への効率的、かつ的確な診療支援により、患者様のみならず、医療従事者の皆様の負担軽減や医療経済効率化への寄与も志しています。

第一種医療機器製造販売業許可を取得

日本臓器製薬は、2020年(令和2年)3月24日付で第一種医療機器製造販売業許可証を受領しました。これにより、現在開発中の「神経再生シート:HANZシート」や「疼痛診療支援AIシステム」をはじめ、医療機器分野での本格的な製品開発と製造販売が可能となりました。
現在は、次のステップとしてISO13485(医療機器産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格)の認証取得を目指しています。厚生労働省が定めたQMS省令を基に確立した品質マネジメントシステムを、国際規格であるISOに合わせて改変し、より高レベルの品質マネジメントシステムを構築しています。
日本臓器製薬は、医薬品に加え医療機器の領域でも、有用な製品を皆様のもとに届ける取り組みを続けていきます。